【雑稿】TSLホームページ開設に寄せて

TSLホームページ開設に寄せて
掲載日:2006年3月19日
思えば、私は日本スピリチュアリズム発祥の頃、幸運にも国書刊行会から依頼された『世界心霊宝典』5巻本の編集・監修・翻訳を受け持つことになった。その各書の末尾に、後記、解説などとして、今から考えれば大胆にも、当時の私のスピリチュアリズム理解のオリジナルな部分、また核心に当たる部分を書き記した。それらは、外国のものに照らしても引けをとらないものと自負している。
さらに、これらをある意味で引き継ぐ形として、その後の哲学事典『哲学の木』(講談社発行)に、霊性・他界の2項目を執筆した。当時の哲学会はそれこそスピリチュアリズムのようなものを唾棄すべきものと考えていたから、スピリチュアリズムについて忌憚なく述べた内容は画期的なものだっただろう。
これらの内容は哲学的な側面、また研究的な側面を既に持っていた。しかし、私の哲学的傾向は子供のときからのものであって、変な子であったかもしれないが「すべてが哲学的に考えられて当然だ。人間は本来、物事を哲学的に考えてこそ人間なのだ」と思っていた。中学に入るとすぐに無を考えていた。哲学し続けるのが人間だというのが当時の私の日常的な構えだった。その後の訳書『霊的治療の解明』『不滅への道』、また自著『他界論』に収めたあとがきなどには、意識的にした事ではないがその傾向が現れているように思う。どれもみな哲学的であるか研究的なのである。
私がロンドンのSAGB(英国スピリチュアリスト連盟)を訪問したとき(1987年)、主幹のトム・ヨハンセン氏は私にこう言った。
「これまでのスピリチュアリズム経過に、段階的な進化がある。スピリチュアリズム勃興の初期には物理的心霊現象、次いで主観的な、優れた霊媒の霊視などが活躍する時期、そして、今は霊的治療が盛んに行われているが、ロンドンでは、既に哲学の時になっている。これからは、スピリチュアリズムも哲学でなければならない」と。
そして時代が変わった。現在ではスピリチュアリズムを講義で論じる国立大学教員も数人現れている。このホームページが開設されたのは時を得ている。本格的なスピリチュアリズム研究を始めることは、日本にもスピリチュアリズムが定着することである。スピリチュアリズムが世界を覆い、その理念が世界に浸透する日も近いかも知れない。やがて、大学で、スピリチュアリズムの研究で、学生が博士号をとる様になれば私の本望である。

makehtml_a_edited
筆者(左)とSAGB主幹トム・ヨハンセン氏(右):1987年7月22日

Copyright (c) 2006 UMEHARA Shintaro